Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

Lisez 支倉事件 (はせくらじけん) de 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 204 697 caractères · 406 écrans

Aozora Bunko

余寒の氷が去りやらぬ二月半の夜更け、空はカラリと晴れて蒼白い星が所在なげに瞬いていたが、物蔭は一寸先も見えない闇だった。写真館の表は軍装いかめしい将軍の大型の写真と、数年前に流行った服装の芸者らしい写真と、その外に二、三枚の写真を飾った埃ぽい飾窓に、申訳につけられた暗い電燈が、ボンヤリ入口を照らしていた。

その入口の浅田写真館とかゝれた看板を見上げながら、一人の怪しげな男が暫くじっと佇んでいたが、中へ這入りもせず、そっと横の路次から手探りで裏口の方へ廻って行った。

裏口へ廻った怪しい男は木戸から洩れる燈火を頼りに、そっと忍寄って、コツ/\と戸を叩き出した。

さっと一条の白光線が滝のように流れて、開いた木戸から一人の男が飛出した。

木戸が再び閉ると一瞬照し出されたゴタ/\したみすぼらしい裏口の光景は消えて、四隣は又元の真の闇になった。

「大丈夫かい」

外から木戸を叩いた男が低声で云った。

「大丈夫です。もう寝ました」

中から出て来た男が囁いた。

「何か手懸りが見つかったかね」

「大した事もありませんが、こゝの主人は此頃時々公証役場へ出入しますよ。多分支倉に頼まれたのだろうと思います」