Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きられたさに

斬られたさに

夢野 久作

Lisez 斬られたさに (きられたさに) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 352 caractères · 41 écrans

Aozora Bunko

「お覚悟ッ……」

という必死の叫びが、絹を裂くように庭先に流れた。白い光りが一直線に平馬の胸元へ飛んだが、床の間の脇差へかかった平馬の手の方が早かった。相手が立ち上りかけた肩先を斬り下げていた。

その切先に身を投げかけるようにして来た相手は、そのまま懐剣を取落して仰けぞった。両手の指をシッカリと組み合わせたまま、あおのけに倒おれると、膝頭をジリジリと引き縮めた。涙の浮かんだ眼で平馬を見上げながらニッコリと笑った。

「……本望……本望で……御座います。平馬様……」

そう云ううちに、袈裟がけに斬り放された生平の襟元がパラリと開いた。赤い雲から覗いた満月のような乳房が、ブルブルとおののきながら現われた。

「……すみませぬ……済みま……せぬ……。今までのことは、何もかも……何もかも……偽り……まことは妾は……女……女役者……」

と云いさして平馬の方向へガックリと顔を傾けた……が……しかし、それは苦痛のためらしかった。そのまま眼を閉じてタップリと血を吐いた。……と見るうちに下唇を深く噛んで、白い小さな腮を、ヒクリヒクリとシャクリ上げはじめた。

平馬は血刀を掲げたまま茫然となっていた。