Classiques japonais avec furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
カーテンもない青い空を映した窓ガラスを見ると、西洋支那料理の赤い旗が、まるで私のように、ヘラヘラ風に膨らんでいる。カフエーに勤めるようになると、男に抱いていたイリュウジョンが夢のように消えてしまって、皆一山いくらに品がさがってみえる。別にもうあの男に稼いでやる必要もない故、久し振りに古里の汐っぱい風を浴びようかしら。ああ、でも可哀想なあの人よ。
それはどろどろの街路であった
こわれた自動車のように私はつっ立っている
今度こそ身売りをして金をこしらえ
皆を喜ばせてやろうと
今朝はるばると幾十日目で又東京へ帰って来たのではないか。
どこをさがしたって買ってくれる人もないし
俺は活動を見て五十銭のうな丼を食べたらもう死んでもいいと云った
今朝の男の言葉を思い出して
私はさめざめと涙をこぼしました。
男は下宿だし
私が居れば宿料がかさむし
私は豚のように臭みをかぎながら
カフエーからカフエーを歩きまわった。
愛情とか肉親とか世間とか夫とか
脳のくさりかけた私には
みんな縁遠いような気がします。
叫ぶ勇気もない故
死にたいと思ってもその元気もない
私の裾にまつわってじゃれていた小猫のオテクサンはどうしたろう