Classiques japonais avec furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
だから、私はころされた大杉栄が好きなのです。
広い部屋。暗い床の間に切り口の白い本が少し積み重ねてある。シタンの机が一つ。暑くるしいのに障子が閉めてある。傘のない電燈が馬鹿にくらい。
遠くに離れて坐っているので、生田さんは馬鹿に細っこく見える。四十位のひとだと思う。
何と云う事もなく、生田春月と云うひとを尋ねるべきだったと思う。婆やさんみたいなひとがお茶を持って来たので、私はがぶりと飲んだ。
病気のひとをぶじょくしてはいけないと思った。
詩の原稿をあずけて帰る。
どうにかなるだろう。どうにもならないでもそれきり。
上野広小路のビールのイルミネーションが暗い空に泡を吹いている。宝丹の広告燈もまばゆい。
おしる粉一ぱいあがったよのだみ声にさそわれて、五銭のおしる粉を食べた。夜店が賑やかだ。
水中花、ナフタリンの花、サスペンダー、ロシヤパン、万能大根刻み、玉子の泡立器、古本屋の赤い表紙のクロポトキン、青い表紙の人形の家。ぱらぱらと頁をめくると、松井須磨子の厚化粧の舞台姿の写真が出て来る。
福神漬屋の酒悦の前は黒山のような人だかり。インド人がバナナのたたきうりをしている。