Classiques japonais avec furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
何だか、罪を犯したようなやましい気になる。
夕方から雨。ヨシツネさんは馬鹿にていねいだ。プラトニックラブと云った顔が、急に中学生のように見えて来る。
澄さんの客に呼ばれて、随分酒をのまされた。少しも酔わない。客は帝大の学生ばかり。ヨシツネさんと同じ位だけれど、馬鹿に子供子供してみえる。
「このひとは、本ばかり読んでいるのよ」と、澄さんが云った。
「何の本を読んでいるンだ?」
ずんぐりした、小さい学生が私に杯をさしながら尋ねた。私は「猿飛佐助よ」と大きい声で云った。みんなわアっと笑った。猿飛佐助がどうしておかしいのか私には判らない。酔ったまぎれに、紺屋高尾を唸ってみせる。みんな驚いている。
学生とはそんなものだ。あんまり酔ったので、女中部屋へ引っこんだのだけれど、苦しくてもどしそうになる。ヨシツネさんがのぞきに来たのを幸い、洗面器を持って来て貰った。酢っぱいものがみんな出る。すべてを吐く。
「ヨシツネさん!」
「何だよ……」
「そこへつっ立ってないで、塩水でも持って来てよ」
ヨシツネさんはすぐ塩水をつくって来てくれた。帯をとくと、五十銭玉がばらばらと畳にこぼれる。