Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
ああ、世の中は広いものだ。毎日、何とか、美味いものを食って、夫婦でのんびり夜店歩きの世界もある。
あれもこれも書きたい。山のように書きたい思いでありながら、私の書いたものなぞ、一枚だって売れやしない。それだけの事だ。名もなき女のいびつな片言。どんな道をたどれば花袋になり、春月になれるものだろうか、写真屋のような小説がいいのだそうだ。あるものをあるがままに、おかしな世の中なり。たまには虹も見えると云う小説や詩は駄目なのかもしれない。食えないから虹を見るのだ。何もないから、天皇さんの馬車へ近よりたくもなろう。陳列箱にふかしたてのパンがある。誰の胃袋へはいるだろう。
裸でころがっているといい気持ちだ。蚊にさされても平気で、私はうとうと二十年もさきの事を空想する。それでも、まだ何ともならないで、行商のしつづけ。子供の五六人も産んで、亭主はどんな男であろうか。働きもので、とにかく、毎日の御飯にことかかぬひとであれば倖なり。
あんまり蚊にさされるので、また、汗くさいちぢみに手を通して、畳に海老のようにまるまって紙に向う。何も書く事がないくせに、いろんな文字が頭にきらめきわたる。