Classiques japonais avec furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lisez 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 562 caractères · 179 écrans
「しかし、しばらく振りで小判十両、てのひらに載せてみると、これでなかなか重いものでございます。いかがです、順々にこれを、てのひらに載せてやって下さいませんか。お金と思えばいやしいが、これは、お金ではございません。これ、この包紙にちゃんと書いてあります。貧病の妙薬、金用丸、よろずによし、と書いてございます。その親戚の奴が、しゃれてこう書いて寄こしたのですが、さあ、どうぞ、お廻しになって御覧になって下さい。」と、小判十枚ならびに包紙を客に押しつけ、客はいちいちその小判の重さに驚き、また書附けの軽妙に感服して、順々に手渡し、一句浮びましたという者もあり、筆硯を借りてその包紙の余白に、貧病の薬いただく雪あかり、と書きつけて興を添え、酒盃の献酬もさかんになり、小判は一まわりして主人の膝許にかえった頃に、年長者の山崎は坐り直し、
「や、おかげさまにてよい年忘れ、思わず長座を致しました。」と分別顔してお礼を言い、それでは、と古綿を頸に巻きつけた風邪気味が、胸を、そらして千秋楽をうたい出し、主客共に膝を軽くたたいて手拍子をとり、うたい終って、立つ鳥あとを濁さず、昔も今も武士のたしなみ、燗鍋、重箱、塩辛壺など、それぞれ自分の周囲の器を勝手口に持ち出して女房に手渡し、れいの小判が主人の膝もとに散らばって在るのを、それも仕舞い