Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Lisez 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 562 caractères · 179 écrans

Aozora Bunko

「おや?」と主人の原田は叫び、「そこにあるよ。」

見ると、行燈の下にきらりと小判一枚。

「なんだ、そんなところにあったのか。」

「燈台もと暗しですね。」

「うせ物は、とかく、へんてつもないところから出る。それにつけても、平常の心掛けが大切。」これは山崎。

「いや、まったく人騒がせの小判だ。おかげで酔いがさめました。飲み直しましょう。」とこれは主人の原田。

口々に言って花やかに笑い崩れた時、勝手元に、

「あれ!」と女房の驚く声。すぐに、ばたばたと女房、座敷に走って来て、「小判はここに。」と言い、重箱の蓋を差し出した。そこにも、きらりと小判一枚。これはと一同顔を見合せ、女房は上気した顔のおくれ毛を掻きあげて間がわるそうに笑い、さいぜん私は重箱に山の芋の煮しめをつめて差し上げ、蓋は主人が無作法にも畳にべたりと置いたので、私が取って重箱の下に敷きましたが、あの折、蓋の裏の湯気に小判がくっついていたのでございましょう、それを知らずに私の不調法、そのままお下渡しになったのを、ただいま洗おうとしたら、まあどうでしょう、ちゃりんと小判が、と息せき切って語るのだが、主客ともに、けげんの面持ちで、やっぱり、ただ顔を見合せているばかりである。