Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たびだち

旅だち

豊島 与志雄

Lisez 旅だち (たびだち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 059 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

ソリの幻影を新たに呼び覚したのも、保科さんを愛してるからではなくて、また保科さんから愛されたからではなくて、ただ架空な愛を夢みてるからだった。もうたくさんだ。なにもかも投げ捨てよう。そしてほんとに自由になりたい。

敏子は膝をとんとん叩きました。股の肉が痛く、手の爪が痛くなりました。それでもまだ膝を叩きました。ふと見ると、姿見の鏡中でも、も一人の彼女が、膝を叩いていました。叩くのを止めると、姿見のなかでも叩くのを止めました。じっと眺め入ると、彼女もこちらをじっと眺め入りました。びっくりして立ち上ると、彼女も立ち上りました。その時、彼女はひどく悲しそうな顔をして、やがて涙をほろりとこぼしました。頬に涙が感ぜられました。敏子はそこに突伏して泣きました。あとからあとから涙が出て来ました。そして思うさま泣いてから、坐りなおして、また膝を叩きました。

――私は神経衰弱じゃないかしら。

敏子はまた膝を叩きました。股の肉がしびれてきました。けれど、姿見のなかを覗きこんでみると、もうそこには彼女はいず、まさしく自分の姿だけでした……。

そのことが、敏子の胸をさっぱりさせました。