Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

大切にしまっときたいと思うの。」

こう云う千鶴子に勿論矢代は異議がなかった。間もなく必ず別れねばならぬ二人である。そして、そのように思っても別に悲しみを感じない。異国の旅にふと出会ったかりそめの友情であってみれば、日本にいたときの互の過去さえすでに白紙であり、またそれをどちらも探り合う要もない、共通の淋しさ儚なさを守り合う身に沁む歎きはあるとはいえ、それはただ甘美な旅の情緒にすぎない。

「まア、自転車のチェーン、こんなによく聞える街って、珍らしいわ。」

教会堂の高い十字の下で、千鶴子は塵一つない通りを辷って行く自転車を振り返って云った。どの街にも人はあまりいなかった。彫り深い彫刻のようなその静かな通りに、生き生きと影だけ明瞭に呼吸しているこの都会の奇怪さも、氷河を見馴れてしまった矢代には自然だった。ふと覗く店店からも時計の音が際立って高く聞えた。

昼食の後矢代と千鶴子は登山バスに乗って山の中腹まで行った。バスの中の人人はそこのホテルへ帰るものや、山頂へ行くものたちであったが、詰っている周囲の顔も、もう矢代たちにはどれも外人の顔のようには見えなかった。