Classiques japonais avec furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
どっと波の襲うような音波が一瞬公園の緑の色を無くした。それでもじっとベンチに腰を落し樹の幹を見ている間に、また断ち切られた緑の色がもとのように静まって来るのだった。
ドームのテラスにはもう塩野を初め、東野やその他知人三四人の日本人の顔も見えていた。一人はある新聞社の特派員で、今日は一日馳けずり廻らねばならぬのだと云って、どこへ行けば一番右翼と左翼の衝突が見られるだろうかと、よりより協議の最中らしく興奮した面だったが、矢代はそんなのもあまり見たいと思わなかった。
「しかし、とにかく、パリ祭も変れば変るものだなア。毎年このあたりの通りは踊り狂う群衆で、もう電車なんか通れたもんじゃなかったんだが、どうだ、このさびれ様は。」
とこう云ったのは塩野だった。パリ祭の賑やかさは前から矢代も話に聞き、映画などでも見知っていた。しかし、実地に見たのはこの日が初めてだったから、見たところ常の日とそんなに変らぬ街の様子も、塩野の驚くほどには感じなかった。
「僕らは旅人だからそう云われても、どうも分らない。これじゃ、フランスも表面を素通りしているだけで、何も知らないのだな。