Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
塩野君だって、現にそこで、訳の分らんことをやってるじゃありませんか。」
矢代はそういうと云いたいことが急に波だち群りよって来たが、云えば云うほど、もつれも解けずなりそうに感じられ、離れた卓上の黄菊をみつけ自分の卓まで持って来て冷たい弁に鼻をつけた。暫くそうして頭の透る香の中へ傾いているうち、ふと二つ巴の自分の家の紋章が泛んで来た。彼はその火の玉形の二つもつれた形が何を意味しているものだろうかと考えた。二個の曲玉にも似ておれば、星雲のより塊ったものにも見え、先日さがし当てた古本版の中の、言霊の亀板面に顕れた音波の原形図とも等しかった。が、最後には、地球の表面を東西に別れて帰って来た千鶴子と自分の、喰い違って廻っている今の念いのようにも見えて来ると、それも跳ね合いながらなおも廻りつづけて行くもののようでもあり、尾と頭がいつまでも追い合って、流れ去り行くものかとも思われたりして、矢代は暫く菊の香の中から、二人の身の上を卜う、無心な気持ちになろうとするのだった。
「今はむかし、という言葉があるでしょう。僕らは何げなくいつも使っているが、どうも恐ろしい言葉ですよ、これがね。