Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

まだ畑へ出るには早すぎる寒さだった。矢代は鍬を持って外へ出てみた。畝も消えて平べったくなった畑には、夏から抜き忘れたままの黍が数本立ち枯れて残っていた。萎びた葉をべたりと地につけている大根と一緒に、それらを引き抜いた後から彼は畑に鍬を入れていった。

一打ちごとに足もとからむっと土の匂いが掠めのぼって来ると、彼はブロウニュの森で千鶴子と二人で草の中に伏し、土の香を嗅ぎつつともに日本を偲んだ日の、ある午後のひとときを思い出したりした。そして、日本へ帰れば何より先ず畑を耕したいと思ったりしたことも、今ごろ漸く実行し始めた彼だったが、「身土不二」という昔からある言葉の深い意味も、こうして打つ鍬の重さ、土の匂い、汗の香の中から味われて来る思いがした。

しかし、彼は土を掘り起しているうちにも、この土地は地主から借りていてまだ自分の物ではないのだと思った。自分の手で耕すことの出来る範囲の狭さでも良い、若干の土地を握ってみたい欲望を彼は強く感じて来ると、それも父から貰った金銭で買い需めたくはなく、自分で得た金銭で需めねば、身土不二の意の深さもその根さえ識りがたいと思えて残念だった。