Classiques japonais avec furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lisez 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 545 caractères · 140 écrans
わしが受け合って取りなして、きっと山へ往かれるようにしてやる。安心しているがいい。まあ、二人のおさないものが無事に冬を過してよかった」こう言って小屋を出た。
厨子王は杵を置いて姉のそばに寄った。「姉えさん。どうしたのです。それはあなたが一しょに山へ来て下さるのは、わたしも嬉しいが、なぜ出し抜けに頼んだのです。なぜわたしに相談しません」
姉の顔は喜びにかがやいている。「ほんにそうお思いのはもっともだが、わたしだってあの人の顔を見るまで、頼もうとは思っていなかったの。ふいと思いついたのだもの」
「そうですか。変ですなあ」厨子王は珍らしい物を見るように姉の顔を眺めている。
奴頭が籠と鎌とを持ってはいって来た。「垣衣さん。お前に汐汲みをよさせて、柴を苅りにやるのだそうで、わしは道具を持って来た。代りに桶と杓をもらって往こう」
「これはどうもお手数でございました」安寿は身軽に立って、桶と杓とを出して返した。
奴頭はそれを受け取ったが、まだ帰りそうにはしない。顔には一種の苦笑いのような表情が現われている。この男は山椒大夫一家のものの言いつけを、神の託宣を聴くように聴く。