Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lisez 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) de 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 306 caractères · 300 écrans
振り顧って指を折ってみると、もうあの時から足かけ五年になる。
「おかあはん、あなたがどうしておられるか私、始終、心にかかっていたのです。手紙のたびにあなたのことを訊ねてもどこにいるのか、少しも委しいことを知らないものですから、一向不沙汰をしていました」
「滅相もない。私こそ御不沙汰してます。あんたはんが始終無事にしといやすちゅうこと、いつもあの娘から聞いていました。ほんまにいつもお世話になりまして、お礼の申しようもおへんことどす」
月の下の夜道をそんなことを語り合いながら私たちはもう電車の音も途絶えた東山通りを下へしもへと歩いていった。そしてしばらく行ってから母親は、とある横町を建仁寺の裏門の方へ折れ曲りながら、
「こっちゃへおいでやす」といって、少しゆくと、薄暗いむさくるしい路次の中へからから足音をさせて入っていった。私はその後から黙って蹤いてゆくと、すぐ路次の突当りの門をそっと扉を押し開いて先きに入り、
「どうぞお入りやして」といって、私のつづいて入ったあとを閂を差してかたかた締めておいて、また先きに立って入口の潜戸をがらりと開けて入った。私もつづいて家の中に入ると、細長い通り庭がまたも一つ、ようよう体の入れるだけの小さい潜戸で仕切られていて、幽かな電燈の火影が表の間の襖ごしに洩れてくるほかは真暗である。