Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

Lisez 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 34 935 caractères · 73 écrans

Aozora Bunko

「中村だがね、ちょっと署まで来て貰いたいんだ」

――誰だい――と呼ぶ吉田の声が、鋭く耳を衝いたので、子供が薄い紙のような眠りを破られた。

「父ちゃあん!」

子供の食い取ってしまいたいような、乳色の手が吉田の頸にしがみついた。

「おお、いい子、いい子、泣くんじゃねえ。誰が来たって、どいつが来たって、坊を渡すこっちゃねえからな」

彼は、子供を確り抱きしめた。そしてとりたての林檎のように張り切った小さな頬に、ハムマーのようにキッスを立て続けにぶっつけた。

M署の高等係中村は、もう、蚊帳の外に腰を下して、扇子をバタバタ初めていた。

「今時分、何の用事だい? 泥棒じゃあるめえし、夜中に踏み込まなくたって、逃げも隠れもしやしねえよ」

(此儘行ったんじゃ困る。家中に二十銭しかない。二十銭では何ともならない。何とか都合しといてからでないといけない。おふくろも子も乾上っちまう。さて)

吉田は、そう考えることによって、何かのいい方法を――今までにもう幾度か最後の手段に出た方がいい、と考えたにも拘らず、改めて又、――いい方法を、と、それが汗の中にでもあるように汗みどろになって、全速力で考え初めた。