Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lisez 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 765 caractères · 21 écrans
老母はそう云ってしずかに封書を押してよこした。菊枝はさっと蒼くなった、良人の文である、なにものにも代えがたいただひとりの良人の書いた文である、なつかしいとも、かなしいとも、言葉では云いあらわしがたい感動が胸へつきあげ、とりあげようとしてさしだした手指はぶるぶると震えた。「……どうおしだ」姑がもどかしそうに云った。「はい、ただいま」菊枝はけんめいに自分を抑えながら、震える手でようやくとりあげて封を切った。
その手紙は越前から出されたものだった。菊枝はまったく夢中で読んだ、なにが書いてあったかほとんど理解することができなかった。拭いても拭いても溢れ出てくる泪、ともすれば喉をふさぎそうな嗚咽、それを姑にさとられずに読もうとするだけで精いっぱいだった。姑も袖で眼を押えながら聞いていた、そして読み終ったあとも、しばらくわが子のおもかげを追うようにじっと息をひそめていたが、やがて眼を押しぬぐいながら、
「またあとで、ときどき読みかえして貰いましょう、そこの仏壇に供えて置いて下さい」
とそう云った。菊枝は云われたとおりにしたが、仏壇へあげるともうすぐから自分ひとりで読みかえしたいというはげしい欲求にとりつかれてしまった。