Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lisez 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 620 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

私たちにはあとでわかったのだけれど、父上が苦心して下しらべに当っていた藩校創立のことが、御政治むきの都合でゆきなやみになり、とうとうおとりやめになったのがその原因だったという。百石につき米百二十俵を上下していたお禄が、少しまえから百俵と定り、そのうえしばしば御借り上げの布令が出るほどで、御政治むきの御不勝手なことは私などにもおぼろげには察しがついていた。けれどもそれが自分たちの上にそんなかたちで影響してこようとは夢にも考え及ばなかったのである。「これで肩の荷を下した……」父上はそう云ってお笑いなすったが、落胆の御様子は見るに堪えなかった。

いよいよ国許へ立つ日がきまってから、私は一日ゆるしを得て湖月亭の大人へお別れにあがった。二年あまりお教えはうけながらまだいちどもお眼にかかっていない。江戸を去ってはもうその折もあるまいと思われ、かなり躊う心を押してお訪ねしたのである。大人はそのとき小石川の目白台という処に閑居をたのしんでいらしった。高台のそのおすまいは、松林の中に小柴垣をめぐらしただけの簡素さで、遙かに関口の大洗堰の水おとが聞えるし、あたりには萩、芒のたぐいが自然のままに生い茂っていて、どんな山奥へ来たかと疑えるほど閑寂な空気に包まれていた。