Classiques japonais avec furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lisez 星女郎 (ほしじょろう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 52 344 caractères · 104 écrans
また振返って見れば、山の裾と中空との間に挟まって、宙に描かれた遠里の果なる海の上に、落ち行く日の紅のかがみに映って、そこに蟠った雲の峰は、海月が白く浮べる風情。蟻を列べた並木の筋に……蛙のごとき青田の上に……かなたこなた同じ雲の峰四つ五つ、近いのは城の櫓、遠きは狼煙の余波に似て、ここにある身は紙鳶に乗って、雲の桟渡る心地す。
これから前は、坂が急に嶮くなる。……以前車の通った時も、空でないと曳上げられなかった……雨降りには滝になろう、縦に薬研形に崩込んで、人足の絶えた草は、横ざまに生え繁って、真直に杖ついた洋傘と、路の勾配との間に、ほとんど余地のないばかり、蔦蔓も葉の裏を見上げるように這懸る。
それは可い。
かほどの処を攀上るのに、あえて躊躇するのではなかったが、ふとここまで来て、出足を堰止められた仔細がある。
山の中の、かかる処に、流灌頂ではよもあるまい。路の左右と真中へ、草の中に、三本の竹、荒縄を結渡したのが、目の前を遮った、――麓のものの、何かの禁厭かとも思ったが、紅紙をさした箸も無ければ、強飯を備えた盆も見えぬ。
「可訝いな。」
考えるまでもない、手取り早く有体に見れば、正にこれ、往来止。