Classiques japonais avec furigana
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えいが
映画
宮本 百合子
Lisez 映画 (えいが) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 466 caractères · 6 écrans
雨傘をさし、爪革のかかった下駄をはいて、小さい本の包みをかかえながら、私は濡れた鋪道を歩いていた。夕方七時すぎごろで、その日は朝からの雨であった。私は、その夜手許におかなければならない本があったし、かたがたうちにいるのがいやで、外に出て来たのであった。自分が親切と思ってしたこと、そのことが思っていたような結果としてはあらわれず、自分が自分の親切に甘えたということばかりが思い当るような気持のことがあって、私はうちにいたくなかった。そして、雨の外を歩いていた。
いろいろの心持を感じながら歩いていて、或る通りのわきに出たら、そこの映画館の方で頻りにベルが鳴りつづけている。割引のしらせである。
思いついて、私は一つの広い改正道路を横切って、銀映座の前へ行った。雨傘をさして外套の襟などを立てた黒い人の列が、そう大して人通りのない横丁のこっちの端までのびている。列のなかには派手なマフラーをした若い女のひともいたりして、傘が傾くと、別に連れもないらしい白い顔がぽつねんと見える。まだ切符は売り出していないのであった。
その時間からは、「女人哀愁」というのとニュースとが見られるわけである。