Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅんもう

春盲

豊島 与志雄

Lisez 春盲 (しゅんもう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 296 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

」

山田は半身を起した。

「黙って酒でも飲むのが一番いい。」

「それでは、わたしはどうすればいいの。」

「一緒に飲むんですね。」

自分から言い出しておいて、山田は眼が覚めたように気付いたのである。一緒に酔っ払ったり、何か愛の保証を求め合ったり、口舌をしたり、それだけが二人の生活だったのか。もうそんなことは乗り超えてる筈ではなかったか。それなら、乗り超えた先に何があるのか。

山田は新らしいものを見るような気持ちで眺めた。彼女の細そりした体躯、薄化粧の顔に長く墨を引いた眉、眼尻でしばしば笑う眼、それから、室の中のこじんまりした調度品、衣桁にかけてある衣類、ぽかぽか火をおこしてある炬燵……。その炬燵に彼女がいつもかじりついているように、山田は彼女の体温に寄り縋ってばかりいたのだ。

酒はたいてい、彼女の手許に用意がしてあった。仕度が出来るまで山用はトランプを借りて独り占いを始めた。執拗に繰り返した。

女とは退屈なものだ。愛情とは退屈なものだ。然しいったい、退屈でないものが世の中に何があるか。山田はいつまでも占いをやめなかった。

「もう宜しいじゃありませんか。」

「いや、思う通りのものが出来るまで、夜通しでも続けます。