Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅんもう
春盲
豊島 与志雄
Lisez 春盲 (しゅんもう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 296 caractères · 17 écrans
時によって変る文句を前後に置いて中身は、ちょっと来て頂けませんか。それを、紙片に鉛筆で書いて、縦に細かく折りたたみ、丁寧に一結びして、少女に持たせて寄来すのである。返事も待たず、届けっ放しだ。小鳥と同様、ちょっと来い、ちょっと来いと、鳴きっ放しだ。
山田の方では、小鳥の声なら聞きっ放しでいいが、美津子からの結び文では、そうはいかない。彼は駒下駄をつっかけて、のこのこ出かけてゆく。
焼け残りの部落を出はずれ、小さな商店がぽつりぽつりと建ってる荒地を少しく行くと、その先の部落のとっつきに、彼女の家がある。ちょっと来いの時、彼女はたいてい、奥の居間で、炬燵にもぐり込んでいる。もういくらかぽかぽかと、春だというのに、まだ炬燵か……とは思っても、山田もやはりその炬燵にもぐり込む。
「なにしていらしたの。」
山田は苦笑するだけだ。男一匹、何にもしないでおられるわけはない。なにかかにか、用をしたり、考えたり、然し結局、何にもしないと同じことだ。
「いったい、どうしたんですか。」
「ただ、お逢いしたかっただけ。」
彼女は眼尻で笑い、山田は溜息をつく。
ちょっと来い、ちょっと来い。