Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はる

春

岡本 かの子

Lisez 春 (はる) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 864 caractères · 48 écrans

Aozora Bunko

京子はもう疲れ切り、眼星の幻像にこだわるのも倦いて、すっかり無気力に成り果てたようだ。黒眼鏡もいつか外して居る。

一組の男女が応接間へ入って来た。まだ席も定めないのに、そのなかの粋な内儀風の女がせき込み、涙ぐみながら言い出した。

――何しろ当人は、自分の間違って居ることが判らないんだからね。何故俺を斯んな処へ入れたんだ。他に男でもこしらえ…………。

女は傍目を憚ってあとは言えない。

――それが病人のあたりまえの言い分なんだから仕方がねいわさ。

――でも、あんまりだわ。おじさん。

――だから、あんまり酷けりゃ院長先生に納得させて貰うんだな。

おじさんは五十前後の商家の主人らしい温厚そうな男。

――あれっ。

京子が頓狂な声を挙げた。

――火の玉! あれっ。

それは応接間の窓際の紅椿だ。

――駄目。驚いちゃあ。花。椿の花。

加奈子が少しきつくなだめると、京子は、ぽかんとして椿の花を見直して居た。すこし経つと、恐怖の引いたあとの青ざめた顔を妙に皺ませ、てれ隠しに室内の人々の顔をおどけたような眼で見廻した。が、京子は皆が自分を注目して居たと知ると、極度の羞恥心で機嫌が悪くなり、加奈子の手を荒々しく把って室から出ようとした。