Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
喧嘩もしばらく中止になって、ふたりはともかくもその女を引き起そうとすると、彼女はあたかも彼の毛皮の上に倒れていて、おそらく苦痛のためであろう、片手は熊の毛を強くつかんでいた。更によく見ると、その女の胸のあたりには温かい生血が流れ出しているらしいので、二人はまた驚かされた。百助は後難を恐れて先ず逃げ出した。六三郎も一緒に逃げかけたが、なにかの証拠になるのを恐れて又あわただしく引っ返して来て、女の手からその毛皮をもぎ取って逃げた。
お絹と六三郎と熊の毛との関係はこれで判ったが、お絹を殺した下手人は判らなかった。六三郎はまったく知らないと云い切った。その申し立てに詐りがありそうにも見えないので、六三郎は単に火事場かせぎとして大番屋へ送られた。血に染みた毛皮は六三郎の家の縁の下から発見された。
「さて、どいつがお絹を殺したか」と、半七もかんがえた。
ともかくも備前屋へ行って声をかけると、番頭の四郎兵衛は蒼ざめた顔をして出て来た。半七は先ず娘の悔みを云ってから、かれの家出や下手人に就いて何か心当りはないかと訊くと、四郎兵衛は一向に心あたりがないと答えた。しかし彼の何だかおどおどしているような、落ちつかない眼の色が半七の注意をひいた。