Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
あるいは此の土地で稼業が出来ないようになるかも知れない。それからそれへと考えてゆくと、お豊はなかなか落ち着いていられなくなった。
なにしろ往来ではどうにもならないというので、彼女はともかくもお力とお直を自分のうちへ連れて行って、二人の娘の持っている清書草紙を下の壁にかけて置いて二階へ通した。お豊は更にお紋と藤太郎をよんで来て、なんとか善後策を講ずるつもりで、すぐ甲州屋へ行ってみると、息子はあいにく留守であった。倉田屋の店には娘がいたので、お豊はそっと呼び出してささやくと、お紋もおどろいて一緒に出て来た。
女髪結の家の二階で、お紋は自分の妹とお直に逢った。かれはお直の不注意を激しく責め立てた。それが雷師匠に輪をかけたかとも思われるほど凄まじい権幕であるので、お豊は又びっくりした。しかしそれにはわけのある事で、お紋がこの頃すこしく取りのぼせているらしいことをお豊も内々知らないではなかった。若い同士の秘密を知らない甲州屋では、今度ある媒妁口に乗せられて、倉田屋の話は忘れたように、よそから藤太郎の嫁をもらうことになった。気の弱い息子は正面からそれに反対する勇気もなくて、ただ内々で苦しんでいるうちに、その縁談はすべるように進行し、近々結納を取りかわすまでに運ばれて来たので、それを知ったお紋は決して承知しなかった。