Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans

Aozora Bunko

「や、雪達磨のなかに人間が埋まっていた」

この噂がそれからそれへと拡がって、近所の者どもはこの雪達磨のまわりに集まった。雪のなかに坐っていたのは四十二三の男で、さのみ見苦しからぬ服装をしていたが、江戸の人間でないことはすぐに覚られた。男の死骸は辻番から更に近所の自身番に運ばれて、町奉行所から出張した与力同心の検視をうけた。

男のからだには致命傷とも見るべき傷のあとは認められなかった。刃物で傷つけたような跡もなかった。絞め殺したような痕も見えなかった。寒気のために凍死したのか、あるいは病気のために行き倒れとなったのかと、役人たちの意見はまちまちであったが、普通の凍死か行き倒れであるならば、雪達磨のなかに押し込まれている筈がない。これを発見した者はすぐに辻番か自身番へ届けいづべきである。これほどの大きい雪達磨をわざわざこしらえて、そのなかに死骸を忍ばせておく以上、それには何かの仔細がなければならない。彼の死因には何かの秘密がまつわっているものと、役人たちは最後の断案をくだした。

「それにしても、この雪達磨を誰が作ったのか」

役人たちは当然の順序として、まずその詮議に取りかかった。