Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans

Aozora Bunko

河太郎もその一つで、葛西の源兵衛堀で生け捕ったとか、筑後の柳川から連れて来たとか、子供だましのような口上を列べ立てているが、その種はもう大抵の人にも判っていた。十三四歳の男の児を河童頭に剃らせて、顔や手足を鍋墨で真っ黒に塗って、大きな口から紅い舌をべろりと出して、がらがらがあと不思議な鳴き声を聞かせる。ただそれだけの他愛もない芸であるが、それでも河童とか河太郎とかいう評判に釣り込まれて、八文の木戸銭を払う観客が少なくない。半七はお照の台所の柱に残っていた鍋墨の手形から、新兵衛殺しの下手人はこの河童小僧と鑑定したのであった。表はもう閉まっているので、裏木戸の方へ廻ってゆくと、楽屋の者もみんな帰ってしまって、楽屋番の爺さんが一人で後片付けをしているところであった。

「おい、六助さん。お前はこの頃ここへ来ているのか」

「おや、親分さんですか。どうも御無沙汰をいたしました」と、楽屋番の六助はあわてて挨拶した。

「お化けの方はなぜ止したんだ」

「へえ、どうもあの楽屋は風儀が悪うござんして、御法度の慰み事が流行るもんですから……」

「爺さんもあんまり嫌いな方じゃあるめえ。