Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
新兵衛の裏切りを聞いて彼もひどく憤ったが、自分もうしろ暗い身のうえで、表向きには立派な口を利けないので、恨みを呑んで再びどこへか立ち去ってしまった。
それから十年ほど経って、長平は久し振りで故郷へ又帰ってくると、嫂はもう死んでいた。甥の長吉は両国の河童に売られたという噂も聞いた。かさねがさねの一家の悲運を見て、長平もさすがに心さびしくなった。ここらでもう料簡を入れ替えて、兄や自分の罪ほろぼしに六十六部となって廻国修行の旅に出ようと思い立った。彼は仏の像を入れた重い笈を背負って、錫杖をついて、信州の雪を踏みわけて中仙道へ出た。それから諸国をめぐりあるいて江戸へはいって来たのは、ことしの花ももう散りかかる三月のなかばであった。彼は下谷辺のある安宿を仮の宿として、江戸市中を毎日遍歴した。
彼がふた月あまり江戸に足をとどめている間に、殆ど同時に敵と味方とにめぐりあったのであった。かたきは彼のお照の父で、新吉の名を今は新兵衛と呼びかえて、柳橋に芸妓屋を開いていることが判った。甥の長吉はやはり河童になって、両国の観世物小屋に晒されていることが判った。長平は甥にも逢った。