Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
なにか気のついたことがあるんなら教えてくんねえか」
「そうですねえ。親分も御承知でしょう。なんだか津の国屋にいやな噂のあることは……」
「いやな噂……」と、常吉もうなずいた。「なにかあの店が潰れるとかいうんじゃねえか」
「そうですよ。あたしはよく知りませんけれど、津の国屋にはお安さんとかいう娘の死霊が祟っているとかという噂ですが……」
「娘の死霊……。そりゃあおいらも初耳だ。そうして、その娘はどうしたんだ」
相手が乗り気になって耳を引き立てるので、文字春は自然に釣り出されたのと、もう一つには常吉に手柄をさせてやりたいというような下心をまじって、彼女はさきに兼吉から聞かされたお安の一件をくわしく話した。まだその上に自分がお祖師様へ参詣の帰り路で、お安の幽霊らしい若い娘と道連れになったことまで怖々とささやくと、常吉はいよいよ熱心に耳をかたむけていた。殊に文字春が幽霊のような娘に出逢ったということが彼の興味を惹いたらしかった。彼はその娘の年ごろや人相や服装などを一々明細に聞きただして、自分の胸のうちに畳み込んでいるように見えた。
「むむ。こりゃあいいことを聞かしてくれた。