Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

大事の証拠物だから、この一件の落着するまでは、めったに手を着けさせることは出来ねえ。どうせ縁起の悪い船だ。まさかに手入れをして使うわけにも行くめえから、片が付いたら焼き捨ててしまうのだろうが、まあ、それまでは大事に囲って置かなければならねえ」

「じゃあ、まあ、三河屋へ行って、その船を見てまいりましょう。又なにかいい知恵が出るかも知れません」

「三河屋へ行っても、あんまり嚇かすなよ」と、拝郷はまた笑った。「この間からいろいろの調べを受けて、亭主も蒼くなってふるえているようだからな」

「はい、決して暴っぽいことは致しません」

半七も笑いながら別れた。表へ出ると、なま暖い風がやはり吹いている。どうも雨になりそうだと思いながら、半七はすぐに築地の三河屋へ足をむけた。三河屋はここらでも旧い船宿で、亭主の清吉とはまんざら知らない顔でもないので、半七は気軽に表から声をかけた。

「おい、親方はいるかえ」

船宿といっても、ここは網船や釣舟も出す家であるから、余りにしゃれた構えでもなかった。若い船頭が軒さきの柳の下に突っ立って、ぼんやりと空をながめていたが、半七を見て慌てて会釈した。