Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
色は黒いが世辞のいい女房は、半七を笑顔で迎えた。
「いらっしゃいまし。朝晩は急に冬らしくなりました」
「もう店を片付けるのじゃあねえか」
「いえ、まだでございます。どうぞ御ゆっくりお休み下さい」
女房の云う通り、秋と冬との変り目の十月にはいって、朝夕は急に寒くなった。殊に権田原の広い野原を近所に控えている此処らは、木枯らしと云いそうな西北の風が身にしみた。
「寒いのは時候で仕方もねえが、この頃はなんだか物騒だと云うじゃあねえか」と、半七は茶を飲みながら云った。
「本当でございます。なんだか忌な噂ばかり続くので、気味が悪くってなりません。ゆうべも化け物屋敷に何かありましたそうで……」
「化け物屋敷……。そりゃあ何処だね」
「すぐそこのあき屋敷でございます」
「化け物でも出るのかえ」
女房の話によると、その屋敷には小池という御家人が住んでいた。屋敷は小さいが、地所は四五百坪ある。その主人は道楽者で、歳の暮れの金に困った結果、懸け取りに来た呉服屋の手代を絞め殺して、懸けさきから取りあつめた十両ほどの金をうばい取った。そうして、その死骸を裏手の畑に埋めて置いたことが露顕して、本人は死罪となったが、屋敷はそのまま残っている。