Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
お半にむしり付かれた時には、長助は半分夢中だったのですが、それでも幾らかは周囲の様子をおぼえている。その話によると、お半の倒れていたあたりには、人間の化け物が忍んでいたらしい。考えようによっては、その化け物がお半を殺したかとも疑われるんですが、わたくしは最初の見込み通り、どこまでも信次郎に眼をつけて、とうとう最後まで漕ぎ着けました。わたくし共の商売の道から云えば、これらはまぐれあたりかも知れませんよ。しかし幽霊の観世物を利用して人殺しを思いつくなぞは、江戸時代ではまあ新手の方でしょうね」
「信次郎は死にましたか」
「あくる日の夕方に死にました。その朝、わたくしは駿河屋へ乗り込んで、まわりの者を遠ざけて、信次郎の枕もとに坐って、どうでお前は助からない命だ。正直に懺悔をしろと云い聞かせますと、当人ももう覚悟したとみえて、何もかも素直に白状しました。その死にぎわには、おっかさんの幽霊が来たなぞと、囈語のように云っていたそうです。それでも信次郎は運がいいのです。もし生きていたら義母殺しの大罪人、引き廻しの上で磔刑になるのが定法であるのを、畳の上で死ぬことが出来たのは仕合わせでした。