Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

行く春のならいで、花の散るのは、是非もないが、この大風で火事でも起こってくれなければいいと案じていると、やがて五ツ(午後八時)に近い頃に、弥助が眼をこすりながら帰って来た。

「ひどい風、ひどい砂、眼を明いちゃあ歩かれません」

「やあ、御苦労。ひどい風だな」

「御注文の一件は調べて来ました。藤屋のかみさんに訊いてみると、お房の云ったことは少し嘘がまじっています。成程この正月には歩兵の四人連れが来て、借りて行ったには相違ねえが、その勘定はもう済んでいるそうです。お房はやっぱり鮎川という歩兵と訳があって、なんとか彼とか名をつけて、屯所へ呼び出しに行くらしい。そこをお前さんに見付けられたので、いい加減のことを云って誤魔化したのです。お房はことし二十歳ですが、その兄貴の米吉というのは商売無しの遊び人で、大名屋敷や旗本屋敷の大部屋へはいり込んで日を暮らしている。勿論、妹のところへも無心に来る。お定まりの厄介兄貴だそうです」

「お房の相手の鮎川というのは、どんな奴だ」

「こりゃあ江戸者じゃあありません。武州大宮在の百姓の次男で、実家もまあ相当にやっている。本人は江戸へ出て若党奉公でもしたいと望んでいるところへ、江戸で歩兵を募集する事になったので、早速に願い出て、三番隊の第二小隊にはいることになったそうです。