Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans
その様子をみて、吉五郎はすぐに覚った。ひとりは瓜生の妹娘で、ひとりは奉公人であろう。父や母は世間の手前、ここへ顔出しも出来ないので、娘と女中が取りあえず真偽を確かめに来たに相違ない。見物の人々もその顔を見識っているので、直ぐに路を開いて通したのであろう。さてこれからどうなるかと窺っていると、女中は死骸のそばに立っている自身番の男に会釈した。
「この死骸をみせて貰うことは出来ますまいか」
「はい、どうぞ……」と、男は気の毒そうに云いながら、顔のあたりの莚を少しくまくりあげて見せた。
二人の女はひと目のぞいて、たがいに顔を見あわせたが、それぎり暫くは何も云わなかった。やがて男に再び会釈して、二人は無言のままで立ち去ってしまった。
「家から云い付けられて来たんだろうが、さすがはお武家の女たちだな」
「ちっとも取り乱した様子を見せないぜ」
かれらのうしろ姿を見送って、人々はささやいていた。吉五郎は猶もそこにたたずんで、検視の来るのを待っていたが、役人は容易に来なかった。真昼の春の日を浴びて、人込みのなかに立っていて、彼は少し逆上せて来たので、あとへさがって河岸端の茶店へはいると、兼松もつづいて葭簀のうちへはいって来た。