Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

早速それをお葉に話して、自分の笠を誰が持ち出したのかと詮議したが、お葉は一向知らないと空呆けていた。そんなことはちっとも心配するに及ばないと、彼女は平気で澄ましているのであった。

しかし次郎兵衛は安心していられなかった。たとい誰が持ち出したにせよ、その笠に自分の名がしるされてある以上、自分も係り合いを逃がれることは出来ない。事件が重大であるだけに、どんな重い仕置を受けるかも知れないと、年の若い彼は一途に恐れおののいた。近所の湯屋や髪結床でその噂を聞くたびに、彼は身がすくむほどにおびえた。

そのうちに、一方のお磯の身売りの相談がまとまって、お葉は本人を引き取るために再び川越へ出て行ったので、その留守のあいだに次郎兵衛は逃げ出した。恐怖に堪えない彼は、どうしても江戸に落ち着いていられないのであった。さりとて故郷へも戻られないので、彼はお霜から幾らかの路用を貰って大磯へ逃げた。

これだけの事を知っていながら、お霜は弟が可愛さに、今まで秘密を守っていたのであった。

「先日のお調べにいろいろ嘘を申し上げまして、まことに申し訳がございません」と、お霜は再び頭を下げた。