Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

と、妻のお富は不安そうに云った。

「なに、あいつは年が行かないでも、なかなかしっかりしているから、大丈夫だよ」

伝兵衛は笑っていた。

三

廿日正月という其の日も暮れて、宵闇の空に弱い星のひかりが二つ三つただよっていた。今夜も例のごとく寒い風が吹き出して、音羽の大通りに渦巻く砂をころがしていた。

「寒い、寒い。この正月は悪く吹きゃあがるな。ほんとうに人泣かせだ」

この北風にさからって江戸川橋の方角から、押し合うように身を摺り付けて歩いて来たのは、二人の中間である。どちらも少しく酔っているらしく、その足もとが定まらなかった。

「いくら寒くっても、ふところさえ温かけりゃあ驚くこともねえが、陽気は寒い。ふところは寒い。内そとから責められちゃあやり切れねえ」と、ひとりが云った。

「まったくやり切れねえ」と、他のひとりも相槌を打った。

「仕方がねえ。叱られるのを承知で、また御用人を口説くかな」

「いけねえ、いけねえ。うちの用人と来た日にゃあとてもお話にならねえ。それよりもお近に頼んだ方がいい。たんとの事は出来ねえが、一朱や二朱ぐれえの事はどうにかしてくれらあ」

「お近に……。