Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

「若い者では無し、いい年をしたわたくしが供をして参りまして、おかみさんの姿を見失ったと申しては、主人は勿論、世間に対しても申し訳がございません。これがお武家ならば、腹でも切らなければならない処でございます。親分さん。お察しください」

四十男の治兵衛が涙をうかべて頼むのである。殊に幸次郎の口添えもある以上、半七も断わるわけにも行かなくなった。

「まあ、ようござんす。出来ることか出来ないことか知りませんが、折角のお頼みですから、なんとかやってみましょう」と、半七は請け合った。「おい、幸。この春、初めて府中へ行ったのも、何かの因縁かも知れねえ」

「そうですねえ」と、幸次郎もうなずいた。「そこで、親分。この番頭さんに何か訊いて置くことはありませんかえ」

「大有りだ。早速だが、そのおかみさんというのは幾つで、どんな人ですね」

「おかみさんはお八重と申しまして、十八の年に伊豆屋へ縁付いてまいりまして、翌年に総領息子の長三郎を生みました。その長三郎が当年二十歳になりますから、おかみさんは三十八で、容貌も悪くなく、年よりも若く見える方でございます」

治兵衛は半七の問いに対して、伊豆屋は四谷坂町に五代も暖簾をかけている旧い店で、屋敷方の得意さきも多く、地所家作も相当に持っていて身上も悪くない。