Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

雨はだんだんに強くなって、夕暮れに近い空の色はますます暗くなった。湯から帰って来た半七の顔色も暗かった。子分ら二人が何かの報告を持って来るまでは、自分の肚をはっきりと決め兼ねたのである。

雨は明くる日も降りつづいて、本式の梅雨空となった。その日の暮れかかる頃に、善八が先ず顔をみせた。

「いよいよ梅雨になりました。ゆうべ幸次郎の話を聞いたので、けさから早速取りかかりました」

「おめえはどっちへ廻ったのだ」と、半七は待ち兼ねたように訊いた。

「わっしは塩町の呉服屋の方です。そこで先ず聞き込んだだけのことをお話し申しましょう」と、善八は云い出した。「和泉屋という家は店構えを見ても知られる通り、土地でも旧い店で、身代もしっかりしているという噂です。主人の久兵衛は五十ぐらい、女房のお大は後妻で三十四、五、先妻にも後妻にも子がないので、主人の甥の清七を養子に貰って、二十二の年まで育てて来ると、その清七は調布のお国と心中してしまったという訳です」

「清七は養子か」

「本来はおとなしい、手堅い人間だったそうですが、府中へ行った帰りに一と晩遊んだのが病み付きで、飛んだ事になったものだと、近所でも気の毒がっています。