Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

と、三十二、三の亭主が答えた。

「それじゃあ、わたしも早くお参りをして、お神酒とお供え物をあげて来ましょう」

女房は帯をしめ直して、表へ出る支度に取りかかった。この夫婦は神田の三河町に住む岡っ引の吉五郎と、その女房のお国である。女中に神酒と供え物を持たせて、お国が表へ出てゆくと、それと入れちがいに、裏口から一人の男が顔を出した。

「親分。内ですかえ」

取次ぎの子分が居合わせないで、吉五郎は長火鉢の前から声をかけた。

「留じゃあねえか。まあ、あがれ」

「お早ようございます」

手先の留吉はあがって来た。

「誰もいねえから火鉢は出せねえ。ずっとこっちへ来てくれ」と、吉五郎は相手を長火鉢の向うに坐らせて、直ぐに小声で話し出した。「どうだ。例の件は……」

「面目がありません、このあいだの晩はどじを組んでしまって……」と、留吉は小鬢をかいた。「だが、親分。もう大抵のところは見当が付きましたよ。お尋ね者のお亀はお近と名を変えて、音羽の佐藤孫四郎という旗本屋敷に巣を作っているんです」

「佐藤孫四郎……。小ッ旗本だろうな」

「と云っても、四百石取りで……。三年ばかり長崎へお役に出ていて、去年の秋に帰って来たんです。