Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
折角つけて行った女を横合いから奪われて、おまけに手ひどく投げ付けられて、彼はくやしくてならなかった。勿論、正面から手出しは出来ないのであるが、さりとて此の儘おめおめと別れてしまうのも何だか残念である。あの女は一体何者であるのか、彼女と虚無僧らとどういう関係があるのか、それを探り知りたいような一種の好奇心も手伝って、元八は又そっとあと戻りをした。森と云っても、木立に過ぎないような浅い森である。土地の勝手をよく知っている元八は、続いてその森のなかへ踏み込んで行くと、三人はもう出ぬけていた。
「足の早い奴らだ」
元八も足を早めて、うす暗い森を出ぬけると、その行く手に男二人と女ひとりのうしろ影が明るい月に照らされて見えた。彼らは神明の社のある徳住寺の方角へむかって行くらしい。若い女と虚無僧とが今頃どうして神明の社へ詣るのかと、元八の好奇心はますます募ったが、何分にも月のひかりに妨げられて、彼は三人に近寄ることが出来なかった。もし覚られたら、又どんな目を逢うかも知れないという恐れがあるので、彼は半町ほどの距離を置いて、見え隠れに慕ってゆくと、三人は途中から更に爪先をかえて、徳住寺から少し距れた古寺の門前に足を止めた。