Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

日をさえぎる百日紅の影に掩われて、暗い古井戸の底は更に薄暗かった。井戸はなかなか大きいので、四人の死骸を沈めるのに仔細はないと思われた。友吉に案内させて、半七らは更に墓場を見まわると、そこらの大樹の下に二、三カ所、新らしく掘り返したような跡が見いだされた。半七は身をかがめて窺うと、本堂の縁の下にも同じような跡が見えた。

「むやみに掘りゃあがったな」

「そうですね」と、松吉も仔細らしく首をかしげていた。

三人はそれから本堂にのぼると、狭いながらも正面には型のごとくに須弥壇が設けられて、ひと通りの仏具は整っていた。しかもそこらは埃だらけで、大きい鼠が人の足音におどろいて逃げ去った。

「仏さま、御免ください。少々お邪魔をいたします」

こう云って、半七は仏前の香炉、花瓶、そのほかの仏具を一々検めたが、やがて小声で松吉に云った。

「おい。見ろ。埃だらけの仏具に新らしい指のあとが残っている。ゆうべか今朝あたり、ここらを掻きまわした奴があるに相違ねえ」

半七はそこにある木魚を叩いてみた。

「この寺じゃあ木魚を叩きますかえ」と、彼は友吉に訊いた。

木魚を叩くか叩かないか、それはよく知らないと友吉は答えた。