Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
「おい、ここらに金貸しの宗兵衛さんという家はねえかね」と、幸次郎は小僧を呼びとめて訊いた。
「宗兵衛さんはいないよ」
「どこへ行った」
「どこへ行ったか知らないが、ゆうべから帰らないと女中が云ったんだ」
「まあ、留守でもいいや。その家を教えてくれ」
小僧に教えられて、宗兵衛の家をたずねて行くと、柾木の生垣に小さい木戸の入口があって、それには昼でも鍵が掛けてあるので、二人は更に横手へまわると、ここにも裏木戸があって、その戸を押すとすぐに明いた。
「御免なさい」
女中は居睡りでもしていたらしく、二、三度呼ばせて漸く出て来た。彼女は水口の障子をあけて、不審そうに半七らをながめていた。
「おまえさんは女中かえ。お由さんというのだね」と、半七は先ず訊いた。
お由は無言でうなずいた。
「旦那はお留守ですかえ」
「ゆうべから帰りませんよ」
「馬道のお光さんのところへ泊まり込みかね」
何でもよく知っていると云うように、お由は無言で半七らの顔をふたたび眺めた。
「実はそのお光さんの家へ行ってみたのですが、ゆうべから旦那は来ないというので……。それでお宅の方へ参ったのですが、旦那はどこへ行くとも、いつ帰るとも、云い置いて行きませんでしたかえ」