Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

怪談の片袖を持って来た奴の身もとを探るのだ。弥平とかいったそうだが、どうせ本名じゃああるめえと思う。鍋久の番頭から聞いた人相や年頃をかんがえると、少しは心当りがねえでもねえ。鍋久へは堅気の風をして来たそうだが、そいつは高輪の北町で草履屋をしている半介という奴らしい。表向きには草履屋だが、ほんとうの商売は山女衒で、ふだんから評判のよくねえ野郎だ。おれも二、三度逢ったことがあるから、神田三河町の徳次の兄弟分だと云やあ、まさか逃げも隠れもしめえ。もし逃げるようならば、いよいよ怪しいに決まっているから、容赦なしに挙げてしまえ。相手は半介で、こっちは半七だ。どっちの半が勝つか、腕くらべだ」

「承知しました」

ここで徳次に別れて、半七ひとりは芝の方角へ足を向けた。高輪北町は泉岳寺の近所である。そこへ行き着いたのは八ツ(午後二時)に近い頃で、日盛りはまだ暑かった。徳次に教えられた通りに、海辺の大通りを右へ切れると、庚申堂のそばに小さい草履屋が見いだされた。一人の男が店に腰をかけて、亭主と将棋をさしていた。

亭主は年のころ三十五六で、色の浅黒い、鼻の高い男であった。