Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

その積りで根よく見張っていろ」

「ようがす」と、徳次は答えた。「じゃあ、半七。おめえは山谷へ出張って、当分は網を張っていてくれ。あすこに砂場という蕎麦屋があるから、そこを足休めにして、小左衛門の出入りを見張っていろ。おれの名をいえば、蕎麦屋でも何かの手伝いをしてくれるかも知れねえ」

なんの商売でもそうであるが、この商売は根気が好くなければならない。殊に科学捜査の発達しない此の時代には、眼の捷いのと根の好いのが探索の宝である。半七はその日から山谷の蕎麦屋を足溜りにして、油断なく小左衛門の出入りを窺っていたが、彼は近所の銭湯へ行くか、小買い物に出るほかには、何処へ出かけることも無かった。たずねて来る人もなかった。

こうして三、四日を送るあいだに、徳次はどこから聞き出したのか、小左衛門の身もとを洗って来た。彼は藩中の浪人ではなく、旗本の渡り用人である。二、三の旗本屋敷を渡りあるいて、今は浪人しているが、その奉公中に格別の悪いうわさも無かったらしく、お節はその娘に相違なかった。しかもそれだけの事では、どうにも手の着けようが無かった。

八月十三日の夕七ツ(午後四時)頃である。