Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
江戸末期の世はだんだんに鬧がしくなって、異国の黒船とひと合戦あろうも知れないという、気味の悪いうわさの伝えられる時節である。太平の夢を破られた江戸市中には、武芸をこころざす者が俄かに殖えた。武士は勿論であるが、町人のあいだにも遊芸よりも武芸の稽古に通う若者があらわれて来たので、岩下左内の町道場も相当に繁昌して、武家の次三男と町人とをあわせて二、三十人の門弟が毎晩詰めかけていた。師匠の左内は四十前後で、色の黒い、眼の鋭い、筋骨の逞ましい、見るから一廉の武芸者らしい人物であった。
御新造のお常は、この時代の夫婦としては不釣合いと云ってもいいほどに年の若い、二十七、八の上品な婦人で、ことばに幾分の奥州訛りを残していながらも、身装も態度も江戸馴れしていた。その上に、誰に対しても愛想がいいので、門弟らのあいだにも評判がよかった。
「先生はちっと困るが、御新造がいいので助かる」
これが門弟らの輿論であった。左内も決して悪い人ではなかったが、誰に対しても厳格であった。殊に門弟らに対しては厳格を通り越して厳酷ともいうべき程であった。それでも昼の稽古に通う子供たちには、さすがに多少の勘弁もあったが、夜の道場に立った時には、すこしの過失も決して仮借しないで、声を激しくして叱り付けた。