Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

伊太郎にはおそよという嫁があったが、ことしの三月に離縁になって実家へ帰った。岡崎屋は小石川の白山前町にある。嫁のおそよの実家もやはり酒屋で、小石川指ヶ谷町にある。双方が同商売で、しかも近所であるために、互いに得意先を奪い合ったのが喧嘩の基で、おそよは遂に不縁になったらしいという。その余のことは嘉兵衛も詳しく知らなかった。

「いや、有難う。それで大抵は判った」と、半七はうなずいた。「爺さん。おめえはその声を聞いたことがあるかえ」

「ありませんよ。話のたねに一度聞いて置きたいと思うのですが、運が無いのか、まだ聞いたことがありませんよ」

「聞いたところで、運がいいと云うわけでもあるめえ」と、半七は笑った。「そこで、その声はまだ聞えるのかえ」

「道場の先生が殺された晩から、ぱったり聞えなくなりましたが、ゆうべは又きこえたという噂です。いや、噂どころじゃあない、現に怪我をしたという者があるのです」

「怪我をした者……。そりゃあ誰だね」と、亀吉は顔を突き出した。

「わたくしと同商売で、吉祥寺裏に六蔵というのがあります。そこの若い者の長助という奴が、ゆうべ血だらけになって帰って来たので、大かた喧嘩でもしたのだろうと思って、だんだんに訊きただしてみると、やっぱり何かにやられたので……。