Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

Lisez 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 67 333 caractères · 134 écrans

Aozora Bunko

「一太郎さん、うまく考えたわね。お母さんもすっかり感心してよ」

と、ほめて下さいましたが、なぜか、そのままそばの火鉢の中をのぞきこんで、火ばしでしきりと灰をかきさがしていらっしゃるのです。

「お母さん、どうしたの。火鉢の中へ何かおとしたんですか」

一太郎君がたずねますと、お母さんはちょっときまりが悪いような顔をして、

「エエ、あんたたちの方へ気をとられていたもんだから、ミシンの針を取りかえようとして、それを灰の中へおとしてしまったのよ」

マリが穴の中へおちたかと思えば、今度は針が灰の中へおちたのです。妙に面倒な場所へ物の落ちる日です。マリの方は大きいものですから、取出すのにわけはありませんが、灰の中へ細い針がおちたのでは、容易に探し出せるものではありません。

でも、お母さんは、あきらめ切れないように、いつまでも火箸で灰をかきさがしながら、おっしゃるのです。

「今は物を大切にしなければならない時でしょう。それに、ミシンの針はなかなか手に入らないのよ。一太郎さん、どうかしてさがし出す工夫はないかしら」

一太郎君は、これは、難題だと思いました。火鉢の灰の中へ十銭玉などをおとしてもなかなか探し出せないものですが、それが針のような細いものでは、一層やっかいです。