Classiques japonais avec furigana
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きそがわ
木曾川
北原 白秋
Lisez 木曾川 (きそがわ) de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 659 caractères · 52 écrans
尽くし神を凝らしたものであった。
空には月明らかに雲薄く、あまつさえ白帝城の甍と白堊とを耿々と照らし出したのである。
然しまた、そうした一夜の歓楽も過ぎた。祭りの後の果敢なさ、そのあわれさは、この水にしてひとしおである。
舟はいま夕暮富士を右手に、その三角洲の緩い彎曲線に沿うて左寄りの分流を走りつつすべりつつある。
阪下という、ごろた石の土手の斜面に舟夫はちょいと舟をとめる。十二、三ばかりの、女の子が前かがみに何か線の細かな菜の葉をすすいでいる、芹かときいてみるとかすかに顔を赤らめながら、人参の葉だという。その傍で半襦袢の毛脛の男たちが、養蚕用の円座をさっさっと水に浸して勢いよく洗い立てる。空の高瀬舟が二、三艘。
船はまた岸を離れる。振り返ると、おお何と典麗な白帝城であろう。蓊鬱たる、いつも目に親しんで来たあの例の丘陵の上の、何と閑雅な甍、白い楼閣、この下手から観るこの眺めこそは絶勝であろう。私はつくづく下って来てよかったと思った。
「坊や、ほら、お城が見えるよ」
「ほんとだ、お城だ」
だが、その白帝城とも、じきにお別れである。
分流は時に細い早瀬となり、蘆荻に添い、また長い長い木津の堤の並木について走る。