Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こがらしのさかぐらから

木枯の酒倉から

坂口 安吾

Lisez 木枯の酒倉から (こがらしのさかぐらから) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 163 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

むしろ概して苦痛を与える場合が多いのだし、それに酒はむしろ俺を冷静に返し、とぎ澄まされた自分の神経を一本ずつハッキリと意識させるのだけれど――それでいて漠然と俺の外皮をなで廻る温覚は俺をへべれけに酔っ払わしているのだった。だから俺は酒に酔うのは自分ではなく何か自分をとりまく空気みたいなものが酔っちまうんだと思っているのだが――そんなことを思い当てるときは、きまって足腰もたたない程酔いしれているのだ。

俺はぐいぐいと、どれ程の酒を呑みほしたものであろうか。益※(二の字点、1-2-22)冴える神経の線が例の模糊とした靄につつまれてゆくのを感じながらふと我にかえると、思わず俺はわあっ! と――いや、もはや俺は物に驚く力をも忘れた木念人であったから、朦朧たる目を見開いて、見開いても暫くはさだかに見定まらないので、わしぁ驚かんよ。勝手にしろよ。とフラフラと動いたのだ。

俺達の酒倉はいつの間にか緑したたる熱国の杜に変っていた。見涯もつかぬ広い緑は、あれはみんな魂の生るような、葉の厚ぽったい、あんな樹々だ。菩提樹、沙羅樹、椰子、アンモラ樹。緑をわたる風のサヤサヤにガサツな音を雑える奴は、あれは木の葉ではない、地べたに密生する丈長い草――ペンペン草ではありませんよだ――これは梵語にクサと呼ぶ草で印度に繁る雑草だった。