Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みきかんのともに
未帰還の友に
Lisez 未帰還の友に (みきかんのともに) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 241 caractères · 21 écrans
僕は、まごつきながらも、その軍刀を右手に持って君を待った。しばらくして君は、竹の皮に包まれたお弁当を二つかかえて現れ、
「残念です。嗚呼、残念だ。時間が無いんですよ、もう。」
「何時間も無いのか? もう、すぐか?」と僕は、君の所謂落着きの無いところを発揮した。
「十一時三十分まで。それまでに、駅前に集合して、すぐ出発だそうです。」
「いま何時だ。」君の愚かな先生は、この十五、六年間、時計というものを持った事が無い。時計をきらいなのでは無く、時計のほうでこの先生をきらいらしいのである。時計に限らず、たいていの家財は、先生をきらって寄り附かない具合である。
君は、君の腕時計を見て、時刻を報告した。十一時三十分まで、もう三時間くらいしか無い。僕は、君を吉祥寺のスタンドバアに引っぱって行く事を、断念しなければいけなかった。上野から吉祥寺まで、省線で一時間かかる。そうすると、往復だけで既に二時間を費消する事になる。あと一時間。それも落着きの無い、絶えず時計ばかり気にしていなければならぬ一時間である。意味無い、と僕はあきらめた。
「公園でも散歩するか。」泣きべそを掻くような気持であった。